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2020.4.10(金)

トラスコ中山
中山社長 訓示「優しさが奪うもの、厳しさが与えるもの」

中山社長
トラスコ中山(社長中山哲也氏)は、新入社員79名が4月6日、同社各物流センターに着任した。新型コロナウイルスの影響で3日に予定していた入社式が延期(現時点で開催日未定)となり、中山社長の訓示は所属先のセンター長が代理で伝えた。

内容は次の通り。
◇  ◇  ◇
新型コロナウイルス騒ぎで世の中が右往左往する中、社会人として歩み始めた皆さん、まずは社会人1年生おめでとうございます。

誰もが経験のない状況の中で、人間力、生存力、独創力、問題解決力、あらゆる知恵を試されているのだと思います。とんだ災難に出会ったものだと思うのではなく、稀に見る人類対ウィルスの戦いに知恵をめぐらせ、胆力を鍛えてもらいたいと思います。

今、 皆さんの一番の心配は「会社は大丈夫なのか?」 ということだろうと思います。現在の状況を簡単に説明しますと「思いのほか順調です。」という状況です。家賃のかからない自社物件、大量の在庫に支えられた商品供給力、ネット通販企業様とのお取引が急拡大等々、現在のところは昨年を上回る売上げが確保できており、企業としての役割と使命を果たしています。

ただ、この先もこの状態が続くかどうかは全く予想がつきません。もしかして売上げが半分、いやゼロになるかも知れないということも想定し、「売上50%ダウンに備えた企業再構築」の策定準備に入りました。 さすがに50%ダウンでは利益は出ないものの、生き残れる道筋だけは見出していきたいと思います。

私は決して楽観論者ではありませんが「持つ経営」「自前主義」、そして「人や社会のお役に立ててこそ事業であり、企業である」という思想が大いに後押しをしてくれるものと信じております。新入社員の皆さん、どうか安心して社会人デビューを果たしてもらいたいと思います。私たち先輩とともにコロナ退治に参戦してもらうことを楽しみにしています。

ところで最近、 朝の経済番組を観ていて感じたことです。一方で重篤な肺炎患者のために命をかけて治療を続ける医療従事者がいるかと思うと、その片方ではダウが上がった下がった、株が上がった下がった、ドルが円が上がった下がったとお金を守る、いやお金儲けに興じる人たちがいるのを見ると、少し複雑な心境となります。平時であれば何も思わなかったでしょうが、人生観、仕事観、倫理観を改めて考えさせられる機会となりました。

今年皆さんに贈る言葉としては「優しささが奪うもの、厳しさが与えるもの」という考え方です。世の中的には、すべてを包みこむ優しさが求められ、厳しさは敬遠されますが、こんな考え方も本質的にはあるかも知れません。

優しさが奪うもの、それは依存性が高まり自立心を失ったり、当たり前になって感謝の心を失ったり、もしかすると精神力、気合い、根性、忍耐力なども奪い去っていくかも知れません。優しさがもたらす幸福感とともに、その副作用にも目を向けておく必要があると思います。ひとことで言えば、「甘やかされてばかりいては育たない」ということでしょうか。厳しさが与えてくれるものは、自立心であったり、本質を見極める眼であったり、優しさが奪っていく精神力、気合い、根性、忍耐力を逆に与えてくれるのではないでしょうか。

人間誰しも厳しさよりも優しさを求めたくはなりますが、甘やかされていては立派な社会人にはなりません。自ら厳しさを求める姿勢が、自分自身を大きく、逞しく育ててくれるのだろうと思います。

これから多くの人との接点を通して人生を歩んでいくことになりますが、物わかり顔で親切で優しい先輩だけではなく、苦言を呈しながらも、ビシバシ鍛えてくれる先輩との付き合いも大事にしてもらいたいと思います。

「失敗は新人の専売特許」「笑顔は最高のお守り」「チャンスは万人に平等に降り注いでいる」―皆さんに直接お伝えしたいことは山ほどありますが、また改めてお会いできた時の楽しみに置いておきます。

起伏に富み、笑いの絶えない人生であることを祈ります。

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