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2017年3月21日
「世界の警察官」復帰を狙うトランプ政権。世界の新秩序構築に日米連携
安倍首相とトランプ大統領の初めての日米首脳会談が現地時間2月10日、ホワイトハウスで行われた。会談後の共同記者会見で安倍首相は両国の経済関係を深化させるため、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の間で対話を進めることでトランプ大統領と合意し、また、尖閣諸島が米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲であることを確認したと発表した。会談は終始和やかに行われ、米国テレビ各局は共同会見の様子を中継で伝え、NBCテレビは、トランプ大統領は「日米同盟を称賛した」と報じ、また「北朝鮮の脅威に対し、日本と共に防衛する」と伝えた。

その後、安倍首相はフロリダのトランプ大統領の別荘に招かれゴルフを共に興ずるなどの厚遇を受けるわけだが、この光景をみると、2013年2月に行われた安倍首相・オバマ大統領との寒々とした初会談がフラッシュバックする。その前年末に再登板を果たした安倍首相は当初、1月中の訪米を指向していたが、米側が日程調整を理由になかなか首を縦に振らず、やっと実現したのが2月22日であった。それも、わずか45分の紋切り型で胸襟を開く様子はなく、オバマ氏主催の昼食会でも、安倍首相を含む両国要人がワインを傾ける中で、オバマ大統領のテーブルにはミネラルウォーター1本がおかれていただけだった。

オバマ大統領はその3ヵ月後の6月7・8日の2日に亘って、3月14日に中国国家主席に就任した習近平氏を「西のキャンプデービッド」と呼ばれる南カリフォルニア州の米国大統領別荘に招き、首脳会談を開催した。習主席は「新型の大国関係」を提起し、太平洋を米中二大強国が分割統治することを示唆した。さすがにオバマ大統領はその提案に警戒心を持ったが、オバマ大統領退任の日まで中国に対する配慮を、北朝鮮に対する「戦略的忍耐」と同様に、継続した。

結果は見ての通りだ。中国は南シナ海の台湾,ベトナム,フィリピン,マレーシア,ブルネイが領有権を主張する南沙諸島を一方的に埋立て軍事拠点化し、東シナ海の日本固有の尖閣諸島への侵攻を繰り返した。さらに中国は、ユーラシアに勢力拡大を図る「一帯一路」をぶち上げ、世界銀行やIMFなど米国が管理運営する国際金融分野にアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立して進出し、これまで米国の経済圏にあった英・独・仏などヨーロッパの先進民主主義諸国を悉く取込んだ。オバマ政権に、中国が経済発展し国民の所得が増え分厚い中間層が育てば、共産党独裁から民主主義による国家に変わるとの見立てがあったが、共産党独裁政権の延命とその「核心」の地位を狙う習近平主席に見事に裏切られた。

そして、北朝鮮。オバマ大統領が採った「戦略的忍耐」は、北朝鮮が核開発計画を放棄するまで,北朝鮮の対話要請を無視すると云うものだ。ノーベル平和賞のオバマ氏が云うと何か高尚な戦略があるように思うが、実際は何もなかった。ただ黙っていただけだった。北朝鮮は核実験を繰り返し、核を搭載するミサイルの実験発射を日常的に行うようになった。今日では実戦配備の寸前にあると云われる。ロシアもウクライナに侵攻し領土の拡大に余念なく、中東への軍事行動も米国に対し遠慮はない。

しかし、である。かかる米国の減衰は、オバマ大統領の無為無策のみに原因があるのではない。世界がポスト冷戦時代の終焉を迎えたことにある。ポスト冷戦時代のキャッチフレーズは、米国の一極集中、経済のグローバル化、自由民主主義の価値の普遍化、であった。経済のグローバル化で中国が世界2位の経済大国になったが、この国は民主主義化を拒否し、かつその経済力と軍事力の強化によって米国の一極集中の構造から多極化にパワーバランスの移行を加速した。長引く不況で英国を初めEU諸国も自国優先の高まりが顕在化した。

かかる激変する世界の流れの中で誕生したトランプ大統領は当初は、「米国第一主義」を標榜し孤立主義をとるかの印象を与えたが、その後、米国を世界のリーダーに立て直す意思が鮮明になった。南シナ海でカール・ビンソン率いる第1空母打撃陣の活動を開始させ、中国との対立姿勢を強め、北朝鮮に対し武力行使や政権転覆も検討すると云う。また弱体化した北大西洋条約機構(NATO)を強化するようドイツ・メルケル首相に発破をかけた。「世界の警察官」の復帰を目指し、先ず自国の経済力をつけるため保護主義を宣言し、軍事予算を大幅に引き上げる。ドイツ・バーデンバーデンで行われたG20財務相・中央銀行総裁会議は3月18日、共同声明を採択したが、米国に配慮して常套語の「反保護主義」は盛らなかった。

トランプ大統領と相性の良さをみせた安倍首相には、トランプ氏との信頼関係を深め、日米同盟を基軸に、ポスト冷戦後の世界における新秩序の構築に尽力して貰いたい。
以上

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