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2016年10月3日
日本、1998年以降名目GDP縮小。経済活性はイノベーションしかない!!
日本の生産年齢人口(15〜64歳)が1995年にピークの8726万人をつけた後、日本の名目国内総生産(GDP)は1997年にピークの523兆円となり、その後、総じて連続減少に転じ、2015年は1997年比5%減の499兆円に減少した。日本は少子高齢化の進行に伴い労働力が減少し高齢者が急速に増加する過程に突入して久しい。その中で、国・地方を合わせた約1000兆円の債務の返済と年々確実に増えてゆく医療費等の社会保障費を、日本経済の営みから産出されるGDPから捻出しなくてはならない。現下のGDP減少を食い止めなくては、国家財政は破綻に追い込まれる。GDPの拡大は日本にとって喫緊の絶対不可欠なる課題だ。

人口が減少する中でGDPを拡大するには、1人当りの生産性つまり一人当たりのGDPを上げるしかない。国際通貨基金(IMF)による2015年の1人当りGDPは、日本は32,486ドルで1997年比5%減に対し、先進7ヵ国(G7)は、米国55,805ドル・同77%増、イギリス43,771ドル・同76%増、カナダ43,322ドル・98%増、ドイツ40,997ドル・同51%増、フランス37,675ドル・同50%増、イタリア29,867ドル・同37%増、と堂々の成長を見せ、日本は取り残された。なお、全世界ランキングでは、日本は1997年の4位から、2015年は26位に成り下がった。日本はもはや経済大国と名乗るのも面映ゆい。韓国は1人当りGDP27,195ドル、1997年比2.2倍となり30位につけ、日本に肉迫する。

安倍政権はかかる経済低迷(デフレ)を脱却し名目GDPの拡大を図るためアベノミクスを推進し、それまで高止まりの円高是正を実現し経済活性の糸口を引き寄せ、2013年3月、日銀に黒田総裁を誕生させた。黒田体制は異次元の超緩和(黒田バズーカ砲)により2年で2%の物価目標を達成するとぶち上げた。円安を呼び込み、円安がもたらす企業利益増によって、株価は上昇し、実感はないが何となく明るい雰囲気が漂った。やがていつの間にか、金融緩和が経済活性の万能薬のようになってしまった。政府も経済界も皆、日銀頼みだ。だが、おカネの供給量をどんどん増やし続けて既に3年半が経つ現在、4ヵ月連続で物価は下落し2%の物価目標は達成どころか、デフレ懸念さえ否定できない状況だ。

そもそも物価上昇は実体経済の需給が逼迫してこそ生ずるもので、需要を高めるには個人消費力をつけなくてはならないし、個人消費力をつけるには個人所得を向上させなくてはならない。個人所得を向上させるには働く人々の賃金を上げなくてはならない。賃金を上げるには1人当りの生産性を上げなくてはならないが、日本は1人当りのGDP推移でみたようにジリ貧も良いところだ。これではGDP構成の過半を占める個人消費は停滞するばかりでGDPが拡大するわけもなく、物価は低迷しデフレが忍び寄るだけだ。

生産性引上げに喫緊に不可欠なのは、日本経済を担う製造企業におけるイノベーションだ。
イノベーションと云えば、日本では「技術革新」と認識し、研究開発活動として捉えるが、世界では研究開発のみに特化するのではなく、社会や顧客のニーズに応える新たなる価値を創り出し、広く普及浸透させていくことをイノベーションと定義づけている。しかるに日本ではイノベーションは技術者が担うものとされ、技術者は市場のニーズを弁えず、技術そのものの質の向上を重視し、過剰機能・高コスト・高価格の製品を作りがちとなり、世界の市場に受け入れられない。こんなものはイノベーションとは云わない。一般的に日本企業の技術力や品質に対する評価・信頼性は極めて高い。だが、いかに優れた技術を開発しても、その製品が社会に普及しなくては価値がない、と云うことだ。世界的なビジネススクールであるINSEADが各国のイノベーション創出力をランク付けしたグローバル・イノベーション・インデックス2016によれば、1位スイス、2位スウェーデン、3位イギリス、で日本は16位だ。アジア勢では6位シンガポール、11位韓国、14位香港が日本より上位に位置する。

日本企業には、既存製品・事業の改善を通じて成功を納めてきた過去の体験を踏襲する経営を重視し、既存事業の延長線上にないイノベーションのトライに消極的な経営者が多い。自社の製品は品質が高く価格も確保しており競争力があると高を括ると悲劇に陥る。かって世界市場を制覇した半導体等の電子産業の現況はまことに悲惨だ。世界から日本の事業所が消えてしまった。機能は落ちるが安くて使いやすいと云う製品が爆発的に普及し、それまで市場で優位にあった高品質製品が駆逐されたのだ。韓国のイノベーションに敗れた。

日銀は、消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで長期金利ゼロ%を誘導する長期緩和政策に転じた。安倍政権は強権で、製造企業の停滞した経営体質を刷新し、イノベーションの喚起を牽引するべきだ。日本は、今、3流国転落の淵にある。
以上

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