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2016年4月28日
国を亡ぼす未婚女性。人材を磨り潰した財界
2月末、大阪市鶴見区の市立茨田北中学校の全校集会で、寺井寿夫校長は「女性にとって最も大切なことは、子供を2人以上生むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」と述べた。至極当然の発言であるが、たちまちエセ個人主義を煽動するマスコミの好餌となり、彼は3月に辞職した。そのマスコミで活躍する女性が帰郷したとき中学時代の担任から、「仕事も良いが、子育てもちゃんとしなくては」と云われたと嘆く。

しかるに、女として生まれた人が、結婚して妻となり子供を生み母となるのは、子孫を残す自然の摂理だ。この摂理を踏み外し、自由気ままな仕事に惑い、結婚もせず子供を生み育て上げなかった女性に人生の達成感があるのだろうか、疑問だ。かかる女性が蔓延すれば、人口が減りやがて国は衰亡するしかない。寺井校長は、現下の日本が追い込まれた少子高齢社会の危機を諭したのに違いないが、かかる人を追い払うメディアの風潮はまことに危うい。

その危うさは未婚率の推移に如実に表れる。内閣府による未婚率は、1965年(東京オリンピックの翌年)の男性25歳〜29歳の45.7%が2010年に71.8%にハネ上がり、女性は18.9%から60.3%にハネ上がった。また男性30〜34歳は同じく11.0%から47.3%へ、女性は9%から34.5%にそれぞれ大きく上昇した。しかし、なかでも注目すべきは、1990年のバブル崩壊後の未婚率が男女とも急ピッチで上昇したことだ。

内閣府が少子化の原因を分析するために、2013年10月に行った「家族と地域における子育てに関する意識調査」では、「若い世代で未婚・晩婚が増えている理由」として、未婚男性は「経済的に余裕がないから」が圧倒的であり、女性は「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」が最多であった。女性のお気楽さはさておき、男性の「経済的余裕がない」ことによる未婚は実に深刻である。

バブル崩壊による過剰債務、過剰雇用、過剰設備の経営危機を乗り切るため、財界はそれまでの「雇用重視」を捨て都合よく「株主重視」に転換した。以降今日至るまで20年余、株主資本(自己資本)を増やすために、毎年、人員削減によるリストラを徹底し続け利益確保に邁進した。現在、企業は300兆円規模の豊かな内部留保を持つが、それが殆ど人件費の削減のみで現出されただけに、人的資源の劣化は夥しい。

以来、正規社員は激減し、非正規社員は激増し、今日では全労働者に占める非正規社員の割合は4割に上る。国税庁・民間給与実態調査による年収は正規社員477万円に対し若者が多い非正規社員は169万円に過ぎず、これでは若者が結婚出来るわけがない。

若者の未婚率を跳ね上げ、少子高齢化を加速し、日本経済の停滞を促すのは財界だ。企業の成長を図る人材投資や新技術の開発投資、生産性向上の設備投資を実施しなければ、内部留保は溜まる一方だ。近年目の覚めるような新製品が出たと云う話はない。むしろ日本が世界的シェアを誇った製品が、次々と韓国や台湾、中国に取って代わられる事態がとどめなく発生し、太陽電池セルも昨年、世界トップ10から日本企業は消えた。

東芝の不正会計、三菱自動車の燃費データ不正などのインチキが相次いで摘発された。今後も他社との技術競争について行けない企業の不正が読出する気配は否めない。愛社心に燃え高い技術力を発揮する人材が今や存在しない状況下では、当然の帰結だろう。また、2011年3月の東北大震災で当地に集中したサプライチェーンが壊滅した苦い経験がありながら、今回の熊本大震災でも同じ轍を踏むことになった。火山国日本では、生産拠点の分散化が不可欠との教訓が生かされなかった。

経営者の無能が原因だ。今どきの経営者は単なるサラリーマン上がりで、世界の情報に疎く、時代の変化についてゆけない。国家観もなければ社会貢献意欲も企業ビジョンもない。賃上げすら安倍政権によるプレッシュアがなければ決められない。アベノミクスの円安・株高で企業収益は潤ったが、その収益を企業体質の強化に使うでもなく結局、内部留保を積み上げただけでは、円高に戻れば元の木阿弥になるだけだ。

日本がバブル崩壊後四半世紀に亘って、人件費の削減にうつつを抜かし人材をすっかり失くしてしまったのに対し、ライバルのドイツは工場のデジタル化を推進する第4次産業革命(インダストリー4.0)の実現を国策とし、人材の錬磨に余念がない。安倍首相は4月12日、先行するドイツを睨み、「イノベーション投資、10年で3倍」を表明したが、現行のままでは東芝や三菱自動車と同様の悲劇を招かざるを得ない。

日本の閉塞打開には、国策による果敢なる、女性の未婚是正と経営者の刷新が不可欠だ。
以上

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