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2016年2月22日
修身斉家立て直し。出生率引上げと専業主婦復帰
古来より,修身斉家なる言葉(中国・「礼記」大学)がある。身を立て家をなすことは、日本でも当たり前の風景であった。誰しも一人前になり結婚して家庭を築き子を産み育てる社会のシステムがあった。出生率を云々しなくても人口は増え、人口増と共に経済は成長した。江戸末期の人口3500万人が明治維新後に急速に増え、昭和50年の国勢調査では1億人を超え、人口構成も多子・少死の理想的ピラミッドを形成した。その間、1968年に国内総生産(GDP)世界2の経済大国に台頭した。

その日本は、総人口が2007年の1億2777万人をピークに減少に転じ2015年までの8年間で88万人減少し、生産労働人口(15〜64歳)は1995年の8726万人をピークに20年間で1003万人も減少した。結果、2010年、日本はGDP2の位置を13億人の人口大国・中国に奪われた。今後の見通しはまことに厳しい。10年後の2025年、人口623万人の減少、生産労働人口608万人の減少となり、25年後の2040年、人口1961万人減少、生産労働人口1906万人の減少となり、このままでは経済小国に堕するしかない。

周知のようにその原因は出生率(1 人の女性が一生のうちに産む子供の平均人数)が異常に低下したからだ。出生率は1974年に人口置換水準の2.08を下回り以降、今日の1.42に至るまで低迷してきた。出生率の低下が初めて問題になったのはバブル期の1990年に生じた「1.57ショック」であった。出生率の算出が始まって以来最低の1.58を記録した丙午の1966年を下回り大騒ぎになった。大山鳴動したが、しかし、バブルが崩壊して未曾有の企業危機に陥った経営者が雇用責任を放擲したことが、出生率の低迷を決定づけた。

1994年2月、舞浜ヒルトンホテルで会合を持った経済同友会は、経営責任は株主の利益を守ることであり、雇用責任を一切負うことはない、と雇用重視から株主重視に転換した。たちまち、リストラの嵐が日本中で吹き捲る。そして雇用は、正規雇用を控え非正規雇用偏重に転換した。非正規雇用者比率は、1995年の20.8%から2015年の37.6%に大きくハネ上がった。何より問題は、正規雇用者と非正規雇用者の年収格差だ。国税庁・民間給与実態調査によれば、年収は、正規雇用者477万円、非正規雇用者169万円で、300万円の格差がある。この年収の低さでは非正規雇用者が結婚出来る筈がない。出生率低迷の所以である。

加えてバブル崩壊後大きく変化したのは、専業主婦家庭が激減し共稼ぎ家庭が激増したことだ。1980年は専業主婦家庭1114万世帯、共稼ぎ家庭614万世帯、の専業主婦世帯比率が64%に達していたが、2014年は、専業主婦家庭720万世帯、共稼ぎ家庭1077万世帯、の専業主婦世帯比率は40%に下がり共稼ぎ世帯が逆転した。夫の収入が不安定なり、夫の可処分所得の減少を妻がパートやアルバイトなどの稼ぎで補うようになったからだ。

その結果、修身斉家のタガが外れ家庭内殺傷や老人の孤独死などの事件が頻発になった。修身斉家は主婦の役割を等閑にしてはできない。お産や育児、家事を担い老親を介護し家族の健康管理を行い、夫を仕事に専念させる等々、主婦が果たす仕事は極めて重要だ。生半可で出来るものではない。家は夫婦2人3脚で営み守り抜くものだ。こうして得られる個々の家の安定こそ社会の安寧に繋がる。ちなみに「修身斉家」は「治国平天」が結語だ。

安倍政権はかねてより労働力確保のため女性の社会進出を盛んに唱えてきたが、更にアベノミクス新3本の矢の中で、出生率を2020年半ばに直近の1.42から1.8への引上げを打ち出した。フランスは1人産むごとに手厚い支援金を提供することで出生率の回復を成し遂げた。政権は様々な支援策を検討しているようだが、財務苦境にある今日、やれることは高が知れている。それより何より大事なのは教育だ。日本はおカネより教育が馴染む。最適な妊娠適齢年齢期は20歳代であることは今も昔も変わらない。20歳代で2〜3人の子供を産み立派な成人に育成して頂きたい。仕事は子離れ後に思う存分挑戦して頂きたい。決して、子育てが大変だからと保育所へ子供を預けて中途半端な勤務はやるべきでない。政権には、主婦の役割の大切さやお産、人の育成の意義深さをしっかりと講じて貰いたい。女性が幼少より共感する「女大学現在版」が必要不可欠だ。

若手女性の専業主婦復帰は労働需給の逼迫を起こし、男性の非正規雇用者の正規雇用へのチャンスを広げる。政権は財界に対し賃上げや正規雇用の推進を働きかけるが、増えるのは非正規雇用であり、実質賃金の引上げもままならない。労働市場の機能を通じて、非正規雇用者なしに経営できないブラック企業は淘汰され、人材は高付加価値企業に収斂し、高い資質を身につけ、経済成長の担い手となろう。出生率の引上げは経済の根幹を若返らせる。
以上

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