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2015年11月12日
日中韓・3ヵ国首脳会談開催のわけ。背に腹は代えられなかった中韓事情
11月1日,2日の両日、日中韓首脳会談が3年半ぶりにソウルで開催された。もともと3ヵ国首脳会談は2008年から2012年まで定期的に行われてきたが、その後、日韓において韓国李明博前大統領の竹島上陸や天皇謝罪要求、朴クネ大統領の歴史問題提起などが生じ、また日中間では尖閣諸島問題が浮上し、3ヵ国の関係が悪化し首脳会談は中断していた。日米韓が同盟の間柄にあるに拘わらず、中国に急接近した韓国は、李克強首相を国賓待遇で手厚くもてなし、安倍首相には昼食会さえない、と云う異様なる差別振舞いを見せた。尤も、韓国は日本が腰を低くして韓国の要求を呑めば、朴大統領主催の昼食会を設営すると申し出たが、安倍首相は、「昼飯などで国益を削るわけにはいかない」と、失笑する一幕もあった。

かかる稚戯にも劣る仕儀があったにせよ、安倍首相が早くから中韓に呼びかけながら、なかなか開催できなかった首脳会談がようやく実現した。そのわけは何か。中国も韓国も背に腹は代えられない事情があった。両国とも経済がうまく立ち行かなくなったのだ。立て直すには、日本の高度な製造技術の導入が不可欠なのだ。3ヵ国首脳会談の所以である。

中国の経済減速は愈々鮮明になった。1979年のケ小平による改革開放以降30年続いた中国のアグレッシブな成長は、世界経済を牽引し2010年、中国を世界2の経済大国に押し上げた。その原動力は、豊富な低賃金労働者を「売り」に日米欧の外資系企業を誘致し、低付加価値製品の量産とその輸出であった。たちまち「世界の工場」の地位を確立し膨大なる外資獲得に成果を上げた。だが、経済成長と共に賃金が上昇するのは世の常で、中国の労働コストは高騰した。それ故に中国経済興隆に寄与した日米欧などの外資系企業は中国から母国や東南アジアへの転出が相次ぐ。まして高度技術を中国に持ち込む外資系企業はない。

日本は、労働コストの上昇を生産の高付加価値化で吸収する、経済モデルを構築した。新製品の開発や新製造技術の開発に邁進した。ノーベル賞受賞者を輩出する知力の蓄積があってのことだが。しかるに、中国では、リーマン・ショックの不況対策として打ち出した4兆元(57兆円)の巨額投資は、現下の不動産バブルもさることながら、低付加価値製品の過剰設備を生み出した。低付加価値製品をいくら量産しても高騰した賃金では、東南アジアなどの後発新興国企業との競争に打ち勝ち難く、かって中国経済を支えた輸出力は減衰した。10月の輸出は前年同月比6.9%減の4ヵ月連続のマイナスとなり、マイナス幅も拡大した。

一方、韓国。輸出が牽引してきた韓国経済は、ウオン高、過剰設備、家計債務の3重苦に直面している。ちなみに韓国の輸出依存度(国内総生産GDPに占める輸出割合)は44%、中国22%、日本15%で韓国は突出している。その輸出は今年に入って10ヵ月連続で前年同月比減少を続け、10月は同15.8%の大幅減となった。鉄鋼、化学、自動車、船舶などの主力製品が軒並み落ち込んだ。向け先では、中国との自由貿易協定(FTA)の締結や中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を行い当てにした、中国経済の不振の影響を色濃く受けた。事態は更に深刻で、サムスンのスマートフォンが中国シャオミとの競争に苦戦を強いられるが、今日では韓国の輸出製品は悉く中国製品との厳しい輸出競争に晒されている。

内需についても、家計部門の債務超過が韓国経済に重くのしかかる。家計債務額はすでにGDP比80%、可処分所得比150%を超え危機的状況にある。住宅担保ローンを組んで住宅を購入したとき、日本なら元本の繰り上げ返済に努めるのが普通だが、韓国では住宅の値上がりを当てにして金利分だけを支払い、元本返済をせず子供の教育費や生活費など様々な用途に使われる。つまり米国の金融システムを壊滅的に揺るがした「サブプライムローン」が韓国全土を覆っているのである。韓国経済が減速する中で、いつこの時限爆弾が韓国経済を破壊しても不思議ではない、と云われる。

安倍首相は安保法制を整え日米軍事同盟を強化し、日米が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)合意を成し遂げて国の基盤を整え、岐路に立つ中韓との会談に臨んだ。案の定、日中から歴史問題を提起されたが、安倍首相は、特定の過去だけに焦点を当てる姿勢は生産的ではないと切り返した。首脳会談は、日中韓FTA妥結の推進を加速することで一致した。

しかるにTPP合意は、中国の起死回生の国家戦略、「一帯一路」・AIIBによる東南アジア制覇の夢を打ち砕いた。日米はTPP加盟国と共に中国のシナ海における領土野心を早急に防止する体制を整えるステージに入った。朴大統領は安倍首相にTPP参加に協力を要請した。変わり身の速さはさすがだ。フィリピン、インドネシアも参加を表明した。
日中韓3ヵ国首脳会談は、中国が政治体制を変えTPP参加する日まで続けるべし、だ。
以上

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