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2015年2月23日
日米欧・超金融緩和で湧く世界株高。影が薄い、ドル換算日本経済
東京株式市場で株価が上昇している。2月20日の日経平均株価は、あのITバブルの2000年5月2日以来のおよそ15年ぶりの高値となる1万8332円30銭をつけた。株高は、週初めに発表された昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率が3四半期ぶりにプラスに転じ、また今3月期の日本企業の純利益が円安メリットを受けた自動車や電機などの輸出型企業を中心に過去最高を見込まれ、景気が回復しつつあるとの見立てによるが、果たしてそうか。

そもそも国民が実感できない景気回復などあるわけがない。円安メリット、と云うが、価格の水膨れはあるが輸出量がひと昔のように劇的に増大するわけではなく、雇用が増えても非正規雇用主体では国民の実質賃金は改善されない。実質賃金が18ヵ月連続下落では、GDPの6割を占める個人消費が活気づく筈もなく、街に景況感などが漂うことはない。

株高は日本が経済力をつけたからではない。黒田日銀総裁が放った2度の異次元金融緩和で大量のカネが株式市場に注ぎ込まれたからだ。この動きは日本だけではない。経済好調の米国は連邦準備制度理事会(FRB)が昨年10月、リーマン・ショックを乗り切るために大胆に展開してきた量的金融緩和を終了したが引き続きゼロ金利を継続中であり、また、デフレに直面し且つウクライナ紛争やギリシアの債務問題で揺れ動く欧州(EU)も欧州中央銀行がマイナス金利などの超金融緩和をとり、どの国も株価は市場最高高値水準にある。世界中がカネで溢れかえり、世界の株高はそのあざ花だ。

しかるに、異常に放出したカネは回収しなくては、経済は安定しない。だから、超金融緩和策が株高をいつまでも支えることは決してない。米国は今6月頃に利上げに踏み込むと云う観測があり、いずれ、これまで米国から新興国に流れていたカネの流れが米国への還流に変わることは確実で、新興国の低迷が懸念される。

一方、日本は日銀が2%の物価上昇を目指して更なる金融緩和を図るなど、異次元の金融緩和を続ける姿勢をとるならば、日米間の金融政策のギャップが広がり一段のドル高円安へと市場が大きく揺れる可能性は大となる。

ところで、グローバル化が進展した今日、経済は、自国本位の円ベースによるのでなく、世界の基軸通貨である米国の通貨ドルベースで見なくてはならない。15年ぶりの高値となった日経平均株価1万8332円30銭(ドル換算154ドル)は、安倍政権誕生の2012年12月26日の日経平均株価1万230円36銭(ドル換算118ドル)に比し、円ベースで1.79倍も上昇したが、ドルベースではわずか30%上昇に過ぎない。2年以上もかかって、である。日本人投資家には歓喜ものであるが、ドル建ての外国人投資家に冷めた市場になった。昔は、東京株式市場は、ニューヨークやロンドンと並ぶ世界的な市場であったが、日本の国力低下に伴い、現在は、世界市場における主要市場と見做されない所以だ。

2013年の日本の名目GDPは、円ベースでは前年比+1.1%であるが、ドルベースで前年比▲17.3%の大幅減だ。世界経済に占める日本のシェアは前年比1.5%も落ち6.5%となった。ちなみに主要国のドルベース名目GDPの前年比は、米国+3.7%、ドイツ+8.9%、フランス+7.4%、イギリス+8.8%、イタリア+6.8%、韓国+6.7%、中国+11.5%、いずれもプラス成長である。1981年に日本の格付けをトリプルAとしたムーディーズは、その後格付けをどんどん落とし、日本は現在A1の位置にあり、韓国や中国より低い。国内は、「良くなった、良くなった」と燥いでも、まことに日本は影が薄くなった、と云わざるを得ない。

アベノミクスが、製造業の国内空洞化を加速した、超円高の高止まりを解消した功績は大きいが、少子高齢化・人口減の人口動態を抱え、個人消費や設備投資を大きく望めないなかで、行き過ぎた円安を招く超金融緩和策の実施は、結局、ドルベースの国富を毀損してしまう。そして、海外へ行けばわかるが、円の凋落は甚だしい。昨年の訪日外国人は1341万人の過去最高を記録したが、「日本は何でも安い」と口口に云う。東京の1等地のマンションが新興国富裕層に次々と買われている。通貨が安く(弱く)なれば、その国の人々が有する購買力は確実に減損する。輸入品の騰貴を実感することが多くなった。このままでは、エネルギー・食料など生活必需品の海外依存が高い日本はハイパーインフレも他人ごとではない。   

古来より日本は、経済の基盤である技術と産業力を磨き、実体経済を重視し、マネーゲームに与しないと云う考えで国家を形成してきた。金融と云う詐術を安易に使うのではなく、日本本来の勤勉を旨とする経済のあり方に戻る時である。
以上

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