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2015年1月13日
いじめっこ中国、支援者に変貌?中国暴走防止に喫緊の日米同盟強化
中国が世界で展開している資金バラマキの経済外交を侮ってはならない。中国は昨年10月23日、11月10日の北京・アジア太平洋経済協力会議(APEC)の後の午後に開催の、米国が推進する環太平洋戦略的連携協定首脳会議(TPP)の先手を打って、中国が主導するアジアインフラ銀行(AIIB)の設立を発表した。すぐさま周辺新興国21カ国が設立準備の覚書に署名した。中国と領土問題で対立するフィリピンやベトナムも参加した。更に中国は11月8日、アジアのインフラ整備支援に向けて独自で400億ドルの「シルクロード基金」を創設すると表明した。発展途上国はいずれも莫大な資金がかかるインフラ整備に悩んでいる。インフラ関係の国際機関として、歴代総裁が米国の世界銀行(WB)や歴代総裁が日本のアジア開発銀行(ADB)があるが、これら2行ではアジアの膨大なインフラの資金需要を満たし切れない。中国の動きにアセアンなど周辺諸国は大歓迎だ。

かかる舞台を作り上げ、習近平国家主席は満を持し北京・APEC首脳会議で中国が描く「一帯一路」構想をぶち上げた。北京を起点とし、中央アジアを横切って欧州に繋がる陸路の「シルクロード経済帯(一帯)」と、中国沿海部から南シナ海、インド洋に抜け、東南アジア、インド、アフリカ、中東を経て欧州に至る「海上シルクロード(一路)」の2つのルート構築を目指す、と云う。その目的は単純明快だ。中国経済の低成長による国営企業の過剰生産能力の解消と内需不足を補うため、周辺諸国のインフラ整備を支援することで影響力を高め、中国を中心とする経済圏を確立し、地球の東半球に中国の存在感を強化する戦略構想だ。

一方、北京の米国大使館で行われたTPP首脳会議は目標の年内合意を断念し、新たな合意までの道筋を議論するにとどまり、APECに参加した米国オバマ大統領に生気はなかった。11月12日、習近平主席は散策を含め10時間に及ぶオバマ大統領との会談を各国首脳に見せつけ、首脳会談後の共同記者会見で「米中両国は新型大国関係の発展を進めることに同意した」と発言した。米国の弱気を察したアセアン諸国はたちまち、南シナ海における対中国対立姿勢を転じて様子見に入った。APECに引き続き11月13日、ミャンマー・ネピドーで開かれた東アジア首脳会議(EAS)の議長声明でも、対中国批判は大きく後退した。そして11月15日のオーストラリア・ブリスベンでの20カ国サミット(G20)の終了後、次回2016年のG20議長国に中国が決まった。日本も名乗り出たが、G20の大半が中国を支持した。

まさに、中国旋風が吹き捲った11月であった。いじめっ子が突然、支援者に変貌し、威喝は資金投資に変わった。爆発寸前の中国とベトナムやフィリピンとの領有権争いは突然消えた。果たして中国は、領土問題などの核心的利益を抑制し、周辺諸国を初め世界と和してゆくのか。答えはNO!!だ。 APEC、EAS、G20への出席を終えた習近平主席は11月28日、北京で開催した中央外事工作会議で、世界の制度や規制は中国が作って行く、核心的利益は強い覚悟をもって守る、領土紛争問題は一歩も引かない、と宣言した。

しかるに、中国が絶対に避けたいことが、2点ある。1点は軍事力世界最強の米国との本格的な対決。そして2点は、米国による経済制裁だ。この2点を避けるため中国は、相手国と衝突しても米国の介入をうけない程度に留めつつ、目立たぬよう時間をかけながら既成事実を積み上げ最終的に領有権や海洋権益を取り込む戦法をとる。そして、アセアン諸国から、「米国は頼りにならない」と米国への不信感が高まれば米軍のアジアへの展開維持は困難となる。中国はしたたかである。

斯くして、アセアン諸国で中国批判が影を潜めるなか、中国の南シナ海、東シナ海への蛮行は続く。だが、しかし、領土問題は中国だけが核心的利益ではない、国の大小にかかわらず、どの国にも領土問題は核心的利益なのだ。果たせるかな、12月11日、ベトナムは国際裁判所に南沙諸島の領有権問題について中国との仲裁を求めた。11月21日、軍事情報会社「HISジェーンズ」が公開した衛星写真で南沙諸島・永暑礁で中国が人工島を建設しているのが判明した。両国の対立が司法を舞台に再燃するのは必至だ。

APECで習近平主席との会談を実現させた安倍首相はEASで、「南シナ海の問題は、地域の平和と安定に直結する国際社会の関心事項だ」と述べ、中国への厳しい姿勢に変わりがないことを鮮明にした。だが、リバランス政策(アジア回帰)を唱えるオバマ・米国が中国の戦法の前に迷走していては、アジア・太平洋地域の安全保障秩序は崩壊しかねない。これら地域の平和と安定のためには、日米同盟の強化しかない。それには、先ず、日米両首脳の濃密なる意思疎通が不可欠だ。心血通う同盟なしに中国の暴走は止められない。
以上

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