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2014年6月22日
中国覇権行動牽制、ASEAN宣言。喫緊の集団的自衛権行使による日米同盟一体化
東南アジア諸国連合(ASEAN)は5月11日、ミャンマーの首都ネピドーで首脳会議を開き、5月初めより中国とベトナムの艦船が衝突を繰り返すなど緊張が高まっている南シナ海情勢について、関係国に自制を求め、紛争防止のため行動規範の早期策定を訴える「ネピドー宣言」を採択し、強力な軍事力を背景に覇権的行動を活発化させる中国を牽制し、深刻な事態を国際社会にアピールした。

南シナ海には石油や天然ガスなどの資源が豊富に埋蔵し、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイのASEAN加盟国4カ国が領有権をもつ。外交筋によれば、ベトナム・ズン首相は会議で、「ベトナム沖合での中国の石油掘削作業は領海侵犯だ」と中国を激しく批判し、すでに南シナ海問題で国際仲裁裁判所へ中国を提訴したフィリピン・アキノ大統領は、「皆さんと法による支配の推進を図りたい」と呼応した。

中国の海洋進出が積極的になったのは1980年代に入ってからだ。南シナ海の南沙諸島海域で、始めは中国の海洋調査船による海洋調査が行われ、程なく中国艦隊が軍事演習を繰り返し、ついに1988年に陸戦隊がベトナム南部海域のサンゴ礁に上陸して中華人民共和国の主権標識を建て実効支配に乗り出した。ついで1990年代初頭にフィリピン西方海域の海洋調査に乗り出し、サンゴ礁に主権標識を建て、漁民の避難施設を名目とする建物を建設した。

かくて南シナ海の実効支配を固めた中国は、懸念を深めるASEANに歩み寄り、2002年の中国ASEAN外相会議で、緊張を高める行動の自制や平和的解決を謳う「南シナ海行動宣言」を採決するに至った。「宣言」に法的拘束力はないが、法的拘束力のある行動規範の合意に向けて努力することが規定された。行動規範には国連海洋法条約の紛争解決手続きの活用や規範遵守を監視する仕組みの構築、排他的経済水域(EEZ)の尊重などが想定された。

両者は昨年9月より公式協議に入ったが、早期策定を望むASEANに対し、中国は、基本的には2国間問題であり、ASEAN全体との問題ではないとし、合意の目途は立っていない。ASEAN側は、中国が協議を長引かせ、その間に力で実効支配を進めるものと不信感を露わにする。「ネピドー宣言」の所以である。

そのASEANは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10ヵ国で構成され、ASEANは、2015年末にASEAN経済共同体(AEC)を発足させる。ASEAN10ヵ国が1つにまとまり、人口6億人を超える規模の一大経済圏が誕生する。いわば欧州連合(EU)のアジア版で、域内の関税撤廃、貿易の自由化、投資の自由化、知的所有権の保護などによるヒト・モノ・カネの行き来が自由になることで、より一層の経済の活性化が期待される。

ASEANは西にインド、東に中国の巨大経済圏を擁し、その間を結ぶ物流の連結性を強化するためにASEAN域内に「インドネシア経済回廊」と呼ばれる海路および「南北経済回廊」や「東西経済回廊」、「南部経済回廊」と呼ばれる陸路のインフラ整備に勤しむ。そして、2011年11月、ASEANは日本・中国・韓国・インド・豪州・ニュージーランドの6ヵ国との広域にわたる壮大なる経済連携構想、「東アジア包括的経済連携(RCEP)」を提案し、現在、交渉が進められており、アジア経済におけるASEANの重要性は益々高まると見込まれる。

安倍首相は就任直後の2013年の1年をかけて、歴代首相で初めてASEAN10ヵ国すべてを歴訪し、ASEAN重視の姿勢を明確に打ち出した。同年12月に一連の外交の集大成となる日本・ASEAN特別首脳会議を東京で開催し、日本はASEAN域内の連結性強化のインフラ整備への巨額ODA供与や日本・RCEPの交渉妥結に向けた協力などを表明し、特別首脳会議は中国が東シナ海に設定した防空識別圏を念頭に、「飛行の自由及び民間航空機の安全確保へ向けた協力を強化する」とした共同声明を採択した。ASEANが日本の主張を受け入れ、覇権主義的な行動は許されないとのメッセージを中国へ送るものとなった。ASEANの対中姿勢が修正された瞬間であり、先に述べた「ネピドー宣言」への起点となった。

しかるに、年々軍事力の増強を加速し、都合のよい一方的な核心的利益の収奪路線を突っ走る共産党独裁の現中国を宥和政策で止めることは出来ない。歴史が示す通りだ。武力衝突が起きようとも力によって喰い止めるしかない。それには、日本は集団的自衛権行使による日米同盟の一体化が不可欠だ。中国に対し軍事力による必勝の構えを備えてこそ初めて、日本は中国に海洋平和のルール策定を呼びかけ、紛争防止の行動規範の策定が可能となろう。ASEANの期待に応えるには、先ず日本が自らを平和ボケから覚醒しなくてはならない。
以上

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