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2014年4月20日
中国・行詰りの労働集約的低付加価値製品。途上国のうちに高齢社会を迎える中国
世界貿易機関(WTO)は4月14日、2013年通年の中国の貿易額が4兆1600億ドルとなり、米国を抜いて、初めて世界1になったと発表した。それによると、去年1年間の中国のモノの輸出は前年比8%増の2兆2100億ドルで、輸入も7%増の1兆9500億ドルとなった。ちなみに、モノの貿易額は、2位米国3兆9100億ドル、3位ドイツ2兆6400億ドル、4位日本1兆5480億ドル、5位フランス1兆2610億ドル、である。相も変らぬ膨張ぶりであるが、その中国経済を牽引する輸出が、ここにきて陰りを見せ始めた。

中国税関総署10日発表の貿易統計によれば、3月の輸出額は前年同月比6%減の1701億ドルになり、2月に続いて前年同月を下回り、4年4ヵ月ぶりに輸出額が2カ月連続で減少した。一方、輸入額も、3月は前年同月比11.3%減の1624億ドルになり、素材産業向けの原材料の落ち込みが大きく鉱工業生産の伸びは昨年10月以降鈍化し続けており、中国経済は愈々減速を加速する動きに転じた。国内総生産(GDP)の成長率も、中国国家統計局16日発表の2014年1~3月期は、実質で前年同期比7.4%となり、前年10~12月期より0.3ポイント下がった。減速は2四半期連続で、6四半期ぶりの低水準となった。

世界経済の「エンジン」の役割を果たしてきた中国経済が、かくも勢いをなくしたのは何ゆえ、か。もとより中国は低賃金と豊富な労働力が「売り」の国であった。1990年代後半より、日本を初め欧米各国の企業が、製品の生産コスト削減のために中国へ競うように工場移転した。たちまち「世界の工場」と化し、2000年代に入って年率平均10%以上の2桁成長を支えた。しかし、2008年秋に発生したリーマンショックによる世界同時不況で輸出の激減に直面した中国は、失業率増による社会不安を防ぐのに必要な経済成長率8%を死守するため、巨額の大型景気対策「四兆元投資」を断行した。

その結果、製造業、不動産、インフラと云ったあらゆる分野で爆発的な投資が起き、この投資爆発で景気は急回復し、一時は世界経済の救世主と称えられ、GDPで一気に日本を抜き去った。だが、野放図な投資が今日の中国経済に様々な後遺症を噴出させている。中でも製造業への投資は、固定資産投資の3分の1が投じられたが、多くの業種で設備過剰となり、ほとんどが遊休化している。本来、設備投資はスクラップ&ビルドが原則であるべきで、投資をする毎に生産品質や生産性を改善改革するものでなくては競争力がつかないし企業の収益性は上がらない。中国は単純な増産設備を大規模に行ったに過ぎない。

しかるに、中国は「世界の工場」と囃されるが、その内実は、低賃金を前提とする典型的な労働集約的低付加価値製品だ。賃金が上がれば採算がとれなくなるのは自明の理だが、働き手の賃金は劇的に上昇した。もはや、中国の製造業は収益を出し得る状況にはない。今日では、低賃金を「買い」に中国に進出するところはない。中国商務省は17日、日本から中国への直接投資額(企業が海外で工場などをつくるために使った金額)が今年1~3月期は、12.1億ドルで、前年同期比から約半減の47.2%減った、と発表した。なお、昨年から新たに中国に進出しようと相談に来る企業は皆無になった、と上海の日系コンサルタントは云う。日系企業の中国から東南アジアへの移転が急増し、逸早く国内回帰する米国企業も増えた。

中国が目指さなくてはならないのは、産業構造の高度化だ。そのためには、技術力の高い日本企業の投資は絶対不可欠だ。それもスピードを上げて対処しなくては手遅れになるのは必定だ。過去の一人っ子政策のせいで急激に進む少子高齢化や年金積立ほぼ皆無の現実。かつ、GDPに占める個人消費は極端に低く35%しかない。インドやブラジル、南ア、日本、英国などは60%前後だ。所得格差が大きく一般国民の消費能力が乏しいからだ。このままでは世界で初めて発展途上国のうちに高齢化する、と云う深刻な事態に中国は追い込まれる。

だが、習近平国家主席は就任以来、尖閣諸島への威喝行為を高め、抗日モニュメントの建設に熱心で、海外での南京30万人虐殺の吹聴に努める。かかる非生産的な諸策を徹底して中国国民に何の利益をもたらすのだろう。やるべきは、知的財産権保護の法治を整え、海外から付加価値の高い技術を取り入れる環境を早急に築くことだ。そして、国益を収奪する共産党独裁政治体制から国民による民主主義政治体制への移行だ。政敵の汚職摘発などの小手先で国民を誤魔化せる時代ではない。また、世界とは武力ではなく信頼で繋がるしかない。

外務省は、18日、東南アジア諸国連合(ASEAN)7カ国を対象にした世論調査(海外委託)結果を発表した。「現在重要なパートナー」の回答は、日本が65%で1位。中国48%、米国47%と続く。前回2008年調査では、中国が1位であった。中国の虚像に惑ってはならない。
以上

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