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2013年10月28日
日本が存在感、東アジア首脳会議。論理破綻、技術渇望と領海侵入
中国は富国強兵の道をひたすら歩んでいる。近年、中国海軍が急速に力をつけ、昨年は西太平洋海域で過去最多の合計20回の演習を実施し、延べ90隻の軍艦が参加した。さらに今年は11月初旬にかけて、北海、東海、南海の海軍3艦隊の全てが初めて参加し過去最大規模の合同軍事演習を行う。この勢いは挫折して深く悔恨の念に駆られるまで止まないのであろう。国力の増強に伴い戦争に突っ込んでいった日本のように、である。

その中国は、海底に石油やガスなどの資源が豊富に埋蔵されていることが判明すれば、ある日突如として、その周辺の島嶼の領有権を主張し、実効支配に向けての行動に出る。東シナ海の尖閣諸島、南シナ海の南沙諸島がターゲットとなった。国際法に基づき我が領土として統治してきた国々にとっては、その行為はまさに「侵略」そのものだ。相手が軍事大国かつ経済大国であるだけに難儀な話しと相成るが、中国の恣意に任せるわけにはゆかない。

中国とその被害国の日本やアセアン諸国の首脳が定期的に一堂に顔を合わせる機会はある。東アジア首脳会議(EAS)だ。EASは、地域及び国際社会の重要な問題について首脳間で率直な対話を行い、地域共通の課題に対し、首脳主導で具体的協力を進展させるために、2005年12月にクアラルプール(マレーシア)で発足した。アセアン10カ国に加え日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランド、米国、ロシアの18カ国が参加する。

EASは、毎年行われるが、今年はインドネシアで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力)に引き続き、10月10日、ブルネイで開催された。今回の会合では、米国オバマ大統領が政府機関閉鎖の問題で急遽出席できなくなったため、中国が存在感を増し主導権を握るのではないか、そしてアジア各国は中国に気兼ねして何も喋れないのではないかと予想された。

しかし、中国・李克強首相の面前で、安倍首相が、海洋は重要な国際公共財であり、開かれ安定したものでなくてはならず、その秩序は「力」ではなく、「法」により支配されなくてはならない、と発言したのに対し、7ヵ国の首脳が同様の発言をし、3ヵ国は控えめな主張をし、地理的に南シナ海に関係のない7ヵ国は言及しなかった。そして、最後に取り纏められた議長声明に、この海域での法による支配徹底の必要性が盛り込まれた。これまで中国への気遣いがEASの空気を凍結していたが、ついに解き放たれた画期的なる瞬間であった。

EASに先立って行われたアジア各国との2国間会談で、安倍首相は、南シナ海における「力」による現状変更への懸念を表明し、アセアンが一体となってこの海域での法による支配の徹底と行動規範の早期策定に努めるべきだと主張し、日本はアセアンの一致団結した行動を支援すると明言した。そして日本は国家安全保障会議の創設、国家安全保障戦略の策定、集団的自衛権行使の検討などを通じて、世界の平和と安定に貢献する決意を述べた。かかる安倍首相の働きかけと決意表明はアセアン各国から支持と期待が表明され、そして先述のEASにおける各国首脳の発言に至ったと云う次第だ。

一方、日本にとって最大の貿易パートナーである中国との関係は最も重要な問題の1つであることは言うまでもない。安倍首相は、「首脳会談を含め中国の指導者との対話の窓口は常にオープンにしている」と事ある毎に述べる。この流れの中で、9月24日、中国を代表する大企業のトップが大挙来日し、民間レベルで日中関係の修復へ動き出した。その背景に、日本企業が中国から東南アジアへの投資転換を加速させていることが挙げられる。1~9月期の東南アジアでのM&A(合併・買収)件数は前年同期の48件を大幅に上回り70件に達し、金額も同13倍の7485億円と急増した。逆に、中国での1~9月期M&Aは、件数で前年同期比4割減の20件、金額は半減の142億円にとどまった。

実は何より深刻にして切実な問題を抱えている。世界の工場として中国の製造業生産高は世界1になったと囃されるが、その製品の殆どが典型的な労働集約型であり、高騰する労働コストの下では経営できる筈もなく、低賃金の東南アジア各国との競争に勝てるわけもない。中国は、今、好むと好まざるに拘わらず高付加価値製品への移行を迫られているのだ。日本経済界との関係を改善し、新規の技術移転を渇望する状況に追い込まれたのである。メンバーからして今回の来日に中国政府の意向が透ける。

にも、拘らず、本日(10月28日)も尖閣諸島海域へ中国公船「海警」4隻が不法侵入した。

この論理破綻を修復するのは中国政府しかない。中国に「治国平天下」なる言葉があるが、国をきちんと治めきれない不手際を他国に押しつけてはならない。一党独裁の綻びが見え始めた国に隣接する国々は、常に連携し、それぞれの防衛力の強靭化を努々怠ってはならない。
以上

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