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2013年7月7日
景況感出ても第3の矢にすがる企業トップ
忘れたか!経済成長は民間企業が担うもの
アベノミクスは、第1の矢(超金融緩和)、第2の矢(機能的財政出動)による期待先行の局面を経て、実態面でも活発な動きが鮮明になった。東証第1部に上場する企業の2013年3月期決算で、黒字の企業が2%増え、黒字企業の純利益は19兆6000億円で、前年より18%も増加した。安倍政権が掲げた「アベノミクス」による円安・株高が追い風となった。その結果、財務省によれば、2012年度の国の税収は法人税収の大幅アップにより、想定を1兆3244億円上回り、43兆9314億円になった。リーマン・ショック後の09年度に38兆7000億円まで落ち込んだが、08年度の44兆3000億円のレベルに回復した。ただ、リーマン・ショック直前の07年度の51兆円へはまだ道半ばにある。

また、国民年金と厚生年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は、2012年度の市場運用益が11兆2222億円の黒字、運用利回り10.2%で、両方とも過去最高となった、と発表した。因みに,GPIFは保険料114兆円を分散運用している。運用益の主な内訳は、国内債券が2兆1263億円、国内株式が3兆3314億円、外国債券が1兆8218億円、外国株式が3兆7620億円である。なお、これまでの最高収益額は09年度の9兆1850億円であった。アベノミクスは年金財政の安定化にも寄与した。

景気指標でも、実質GDP成長率(年率)は1〜3月期に4.1%の伸びを見せ、前民主党政権下のマイナス成長から一変した。5月の鉱工業生産指数は前月比2%上昇し、4ヵ月連続して上昇した。5月の完全失業率は3カ月連続の4.1%となったが、有効求人倍率は0.90倍で3カ月連続して改善した。

さらに日銀が7月1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感を示す業況判断指数が大企業・製造業で2期連続改善しプラス4となり、1年9カ月ぶりにプラス圏に浮上した。殊に6月は、前回3月調査から12ポイントの大幅改善となった。日産のカルロス・ゴーン社長は、政府の取り組みで1ドル=100円の水準に改善され、競争力を維持できる、とアベノミクスを改めて歓迎した。また、東芝やパナソニックは、電子レンジや冷蔵庫などの「白物家電」の海外生産の1部について国内切り替えを検討する。円安で日本向けの採算が悪化したためで、生産拠点の海外移転が進み産業空洞化が懸念された超円高時代とは様変わりになった。

このような景気好転兆しの中で、6月5日、第3の矢(成長戦略)が放たれた。総じて打ち出された政策の中身に力強さが欠ける、とすこぶる評判がよろしくない。しかし、である。そもそも経済成長は、民間企業が苦しみ抜いて市場の求める製品開発を行い、開拓した需要に基づいて実施する設備投資を通じて、実現してゆくものだ。政府の役割は、民間企業のやる気の実現を支援することに尽きる。

目玉政策に企業の投資減税がある。企業が老朽化した設備を廃棄し、新設備を導入する際に、設備投資額の1部を法人税から控除できる、とする。90年代のバブル崩壊と過剰設備がトラウマとなり、以来、投資の流れはそれまでの能力増大型から合理化省力型にすっかり変わり、その上リーマン・ショック以降は企業の収益悪化と円高、デフレによる設備過剰感から、ついに設備投資額が原価償却額を下回り、実質的に設備が目減りする状況に陥った。これではアグレッシブな海外の新興企業に勝てるわけがない。政府は、あらゆる施策を総動員することで、民間企業の設備投資を70兆円規模に回復させ、経済成長に資したいと願う。

しかるに、経団連の米倉弘昌会長は6月10日の会見で、安倍晋三首相が企業の投資減税を柱とする成長戦略を秋にまとめることを表明したことに歓迎の意を表す一方で、「投資減税だけでは設備投資は動かない」とうそぶく。「政府が成長戦略を工程表に沿って着実に実現していくことが重要」とし、「経済が成長に乗ることで需要が拡大すれば設備投資が実現してゆく」と語った。そこには自ら需要を開拓しようとする迫力もやる気も見えず、政府に寄り掛かるしかない他力本願があるだけだ。

グローバル化の今日、企業は常に事業の新陳代謝、つまりスクラップ・アンド・ビルドを果敢に断行しなくては生き延びることはできない。大手企業が260兆円に及ぶ余剰資金を抱えたままで、20年に亘って眠るが如くの無為無策に終始し、世界における日本のシェアを陥落させた罪はまさに国賊の名に値する。覇気なき企業はジリ貧あるのみである。先ず経営陣の覚醒(刷新)なくして、経済成長はない。
以上

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