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2013年6月5日
「中所得国の罠」に落ちた中国。避けられない共産党一党独裁瓦解
中国経済は、直近2年間の経済成長率を4半期毎に見ると、成長鈍化を明確に呈しており、これまでの高度成長トレンドから変化した。1978年のケ小平の改革開放以来30年の長きにわたって、世界の工場として、そして近年は世界の市場として、世界経済を牽引してきた。外資優遇による海外資本の直接投資を呼び込み文化革命で衰退した経済を活性化させ、1980年代1990年代は起業するため官僚から民間へ移る「下海」ブームで沸き立った。その結果、発展と成長が中国の抱える多くの問題を解決する手段として、伸長率2桁の急速な経済成長を実現してきた。支えたのは、低賃金の豊富な労働力であった。

しかるに1979年より実施された1人子政策で中国の人口増加はピークアウトし、足元の15~64歳の生産人口が大幅に減少し、賃金が高騰した。もはや、中国の強みであった豊富な低賃金の労働力は影を潜めた。その上、生産性を加味した労働コストは、先進国の日米欧並みとなり、中国から撤退する企業が多発し、中国への直接投資も減少中だ。また一方、現在、人口ボーナス期にある周辺のアジア各国への日米欧の直接投資が活発に行われ、ベトナムやミャンマーなどのアジア各国との競争において今までのような低賃金労働力に依存する経済運営は困難となった。

中国の産業構造は、国営企業が担う素材を主とする重工業と公共インフラが中心であり、国の経済を牽引するが、民間企業が担う組み立て産業は熟しておらず,「国進民退」が実態である。改革開放の熱気が噴出した頃は開拓精神が旺盛で公務員をやめて民間企業に行く人が多かったが、今日では若者は公務員になりたがる。いわゆる「上岸」ブームである。民間では発展の余地が小さいと見たのか、安定志向を求める風潮が定着した。このため民間企業は労働需給の逼迫による賃金上昇が企業の生産コストを押し上げ、輸出一辺倒の成長モデルがとれなくなった。これでは、これまでのような高い経済成長など望むべくもない。

2010年、中国はGDP(国内総生産)で日本を抜き米国に次ぐ世界第2位の経済大国になったが,1人当りのGDPは6,075ドルの低位で、その水準はイラクやトルクメニスタンなどの下位中所得国のレベルで日米欧と比較すると大きな格差がある。因みに1人当りGDPは米国49,922ドル、日本46,735ドル、ドイツ42,512ドルだ。中国は1人当りのGDPが中所得国と見做される1,000ドルを2003年に超えたが、IMFやOECDが定義する高所得国12,000ドルに遠く及ばない。中所得国から高所得国への移行に、日本、シンガポールが20年、韓国で30年を要したが、やはり安価な労働力により輸出主導で中所得化した南米や中東が陥った「中所得国の罠」に、中国も落ちたとみられる。「中所得国の罠」とは、高所得の先進国入りを前に長期にいつまでも経済が停滞することを云う。

経済成長率の低下とともに所得格差拡大と社会保障未整備による深刻な問題や共産党独裁体制の矛盾が一気に噴き出し、群体性事件(抗議活動・暴動)は年間20万件に及びこの10年間で4倍に急増した。社会の不安定化は今後の中国の発展に阻害要因となることは必定で、中国が落ちた「中所得国の罠」からの脱出は極めて難しい。低所得国から中所得国へは、豊富な低コスト労働力と海外からの技術の導入があれば、どこでも到達できるが、「中所得国の罠」から抜け出るためには、技術開発や人材育成による生産効率の向上をもたらすイノベーションが不可欠であり、そして何より必要なのは、国内需要が持続的に拡大することで生産を牽引することだ。

それには、内陸農村部の膨大な低所得層への所得の再分配が欠かせず、国有企業の経営者や党・政府の幹部,党に与する知識人達の既得権益層がネックとなって立ちはだかるが、共産党独裁から国民による民主政治への早期の体制改革が絶対必要だ。国民の所得拡大が需要を拡大し、需要拡大が生産に刺激を与え、イノベーションを喚起する、と云うサイクルが機能して始めて、経済は持続的成長が可能となり高所得国化する。一部の者が国富を収奪する共産党独裁体制そのものを改革せず、小手先の対策を講じるだけでは、「中所得国の罠」からの脱出どころか、国内大混乱を惹起する長期経済停滞のリスクが深まるばかりだ。

中国が東シナ海や南シナ海で非常識な示威行為を強行するのは、共産党独裁政権に対して益々高じる国民の不満を海外にかわす常套手段だが、国内事情に窮すれば挙国一致を目論み、党の私兵である人民解放軍による他国への武力行使があることを覚悟し、我が国は日米同盟を基軸にアジア諸国との連携を堅固にし、軍備を整え防戦体制を強化しなくてはならない。今はまさに非常事態にあることを覚醒すべきだ。一朝有事の時は、勝つしか国の活路はない。
以上

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