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2012年10月17日
赤字垂れ流し、「コンクリートにも人にも」 デフレ責任を日銀転嫁、言うだけ番長
2012年9月25日、政府は9月の月例経済報告で国内景気が後退局面に入っていることを認めたが、政府のセンサーは極めて鈍い。製造業は,とっくに減産の動きが相次ぐ。裾野が広く鉄鋼、化学、機械などの関連産業への影響が大きい9月の自動車販売は、1年ぶりに前年同月比でマイナス(▲3.4%)となり、生産調整も始まった。もともとエコカー補助金は、7月末に底をつき終了する見込みであったが、9月末まで続いたこと自体が販売に勢いがなくなっていたわけで、補助金がなくなる10月以降、減産の動きが広がるのは必至だ。

半導体や家電は世界的な景気減速を受け、工場閉鎖や人員削減などリストラをドラステックに加速している。経営再建中のルネサスエレクトロニクスは、今後3年以内に山口県宇部市の工場など10拠点を売却または閉鎖する方針だ。東芝は北九州市の半導体工場など3拠点を9月に生産を停止した。薄型テレビなどデジタル家電のシャープは今年度の液晶テレビ販売を前年比35%減の800万台に減らす意向だ。国内の家電エコポイント制度の終了による内需激減が響く。

機械受注(船舶電力除く)も8月の内需は前月比▲3.3%と減少した。海外景気の減速を背景に景気の先行き不透明感が広がったことで、企業が投資を手控え、先送りしているものとみられる。今後も足元の景気悪化懸念がさらに強まっている上に,日中関係の悪化による需要減少リスクもあり、設備投資先送りの動きが高まりつつある。8月の外需は前月比▲14.7%と大幅に減少した。欧州債務(借金)危機が、成長を続けてきた新興国や途上国の経済を失速させ、それが先進国にも跳ね上がる、と云う世界経済の悪循環が、海外における設備投資抑制の原因となっている。

政府月例報告では、今後の景気について「弱めが続く」と表現しているが、政府が掲げる「脱デフレ」どころか、現況は深刻な不況に突入する局面にあるとみるべきであろう。その政府は、景気の下振れを防ぐため「切れ目ない経済対策の実施」をしきりに口にし、秋の補正予算の組み込みについても言及するが、国会情勢はいつ与野党逆転があっても不思議でない状況にあり、赤字国債発行法案が国会で成立しなければ財政資金が枯渇すると云う異常事態に、わが国は直面している。政府は切れ目のない経済対策とは真逆の戦後初の予算執行抑制を行っており、国民生活にこの影響が及ぶのは時間の問題だ。

財政政策が全く機動性を欠くなかで、動き出したのが民主党人気第一人者、前原誠司経済財政担当相である。10月5日の日銀の金融政策決定会合に政府代表として出席し、外国債券の購入など、日銀に対してより一層の金融緩和を要請した。政府としては、デフレの元凶を日銀の金融緩和が不十分なため、と日銀に責任を転化したいのだろう。前原経財相は、「日銀が物価上昇率1%と云う政策目標を実行する気構えがあるかを見たい」と強調するが、日銀はゼロ金利を打ち出して久しく、強力な金融緩和姿勢を崩さない。問題は、いくらゼロ金利で金融緩和をしても、借り手が出てこなければどうにもならない。借り手がどんどん出てくる環境をつくるには、先ず政府が歳出や税制で需要をつくり出さなくてはならない。それをせずして金融緩和にばかり走る政治家は、無責任の誹りを免れない。

果たして5日の東京外国為替市場の円相場は、逆に午後5時現在で前日比21銭円高ドル安に振れた。前原経財相の日銀出席は「パフォーマンス」と喝破したのだろう。白川方明日銀総裁は5日の会見で、日銀による外債購入は日銀法で認められていない、と説明した上で、デフレ脱却には、政府による規制緩和などの政策が不可欠と指摘した。外債購入は為替市場での円売り・外貨買い介入と同じ効果を持ち、為替介入の権限は財務省に一元化されている。前原氏は、国土交通相時代に建設中止を表明した群馬県八ツ場ダムの工事再開を受け入れた経緯もあり、その政治手腕が問われる。

ことほど同様に,民主党が2009年総選挙で掲げた財政運営のキャッチフレーズは「コンクリートから人へ」であったが、先述の八ツ場ダム工事再開や北海道・北陸・九州の新幹線整備事業認可など、今では「コンクリートにも人にも」の歳出拡大に変貌した。政府は毎年、成長戦略を作っているが、税収増加に結びつく様子は一切ない。それにつけても、誰に対して言ったのか知らないが、「言うだけ番長」とは、真に言い得て妙である。
こんなド素人集団に国の命運をかけることほど、国民にとってリスキーなものはない。しかし、選出したのは、我々国民自身であることを忘れてはならない。
以上

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