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2019.5.7(火)

東陽
新たな切削工具の創造にチャレンジ

切削工具業界に2010年に参入し、顧客の要望を形にし最適加工を提供するPCD旋削工具や、自動車産業をはじめ2次工程や手作業でのバリ取りを不要にするC面取りカッター・R面取りカッターシリーズ・C面取り付ドリルシリーズなどを製造・販売している東陽(長野県塩尻市広丘郷原1000-5アルプス工業団地、TEL:0263-52-2451、社長吉江慎太郎氏)。同社の創業は1960年。カメラなどの光学系機器の部品加工でスタート。現在も同社の売上げの80%以上を占める。
 光学機器部品の加工では精密切削技術が求められる一眼レフカメラ用レンズ部品を中心に行ってきたが、精密加工を行うには特殊工具が欠かせず、外部の工具メーカーに依頼してきたが、最適な工具を確保するのに苦労していた。
そこで最初にPCD旋削工具の社内製造にチャレンジ。クシ刃、タレット用、小径用などの設計、ロウ付け、ダイヤモンド研磨などを社内で行い加工にベストフィットする工具を作り上げている。微細加工に使うPCD工具は刃先精度が求められ、現在社内では熟練の研磨メンバーが職人の技で作り上げている。

「自社ブランド切削工具の開発〜切削琢磨〜」
光学製品の部品加工で順調に成長してきた同社だが、リーマンショック後からカメラなどの海外生産に伴い受注量が減ってきたという。そこで高精度加工技術を生かした次の柱として立ち上げたのが自社ブランド「ToYoTooL」。
開発を開始したのは2010年。「工具開発を決断すると同時に、アンカ社のCNC工具研削盤MX5を導入。バイトなどの工具を造った事は有ったが、軸物のドリルや面取りカッターの製造は初めてで、最初の数年は工具に求められる特性、形状、材質から加工機の使い方もよくわからず試行錯誤が続いた」と吉江社長は語る。
その後複合多軸加工機の特長や使い勝手もわかり、またユーザーから求められていた工具の具体化設計も進み2014年から自社ブランド製品の販売を開始した。
加工機もアンカ社製のCNC工具研削盤を次々と導入、現在はワークに合わせ数台のマシンを使い分け、効率生産も行っている。
現在商品化されているのは超硬ソリッドC面取りカッターシリーズ。穴の裏側だけでなく、表面の面取りもできる形状で、被削材別にアルミ用・ステンレス用・一般鋼材用・チタン用の4種類をそろえ、このほかR面取りカッターシリーズ、C面取り付ドリル、超硬特殊回転工具などユーザーに応じた特性の製品も受注する。
BCMシリーズでは、裏側の面取り加工が有利になるよう右刃左ネジレ形状を採用(先端径φ1.05〜φ3.8)。同WCMシリーズは、千鳥刃形状を採用(先端形状φ3.8〜φ8.0)、表裏の各面取りに適した形状とすることで、高品位な面取り加工を実現している。両シリーズとも独自のネジレ刃形状が切れ味や優れた切屑排出性を生み出し、2次バリの抑制、長寿命で良質な面取り加工を可能としている。

「思いが進化につながる」
次のステップとして考えているのが、ユーザーの現場に最適な工具の提供と、製品精度の更なる向上。
「PCD工具では現在、市販のインサートチップを購入し超硬母材のカット・ダイヤのロウ付・研磨を行っているが、『もっと先のとがった形状の工具が欲しい』、『カーブを付けたい』などの現場ごとの要求もあり、特殊形状のインサートチップ素材を提供してもらえるメーカーを探している。またダイヤの研磨ではレーザ加工機なども導入し、効率・高精度での加工に向けたチャレンジも検討中」(吉江社長)。このほか加工精度を確認するための高精度測定機の導入も検討している。
更なる夢として吉江社長が語るのが地下工場での高精度加工。「今、PCD工具の研磨は温度変化の少ない半地下工場で行っているが、エンドミルなどの加工も温度の影響を受けない場所での製造を進めたいと考えた結果、地下工場での加工を思いついた。金型メーカーや工作機械メーカーで実施、成功しているとの話も聞く。未来につながる工場で、未来につながる工具を創っていければ」(吉江社長)と熱い思いを語った。

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